男として理解できる生き方「英雄の証明」

英雄の証明 [Blu-ray]
英雄の証明 [Blu-ray]

シェイクスピアの戯曲『コリオレイナス』を現代に置き換え、映画化した作品。予告編を見ると戦争アクションにも受け取れますが、どちらかというと自分の信念を貫く男「コリオレイナス」を描いたヒューマンドラマ的な内容です。 シェイクスピアの悲劇が原作ですが、テーマそのものは現代に通じるものがあり、色々と考えさせられました。

卓越した戦術と勇敢さを持つローマの将軍コリオレイナス。だが決して器用ではない、むしろ不器用なまでに自分のスタイルを変えない、変えられない性分の男だ。強いリーダーシップとカリスマ性で一度は国の最高責任者に祭り上げられるが、結局は彼を取り巻く人間達の思惑に翻弄され、壮絶なラストを迎えることになる。この生き方、分からなくは無い。彼は自分に正直なだけだ。だがその頑なさが周囲との軋轢にも繋がり、足元をすくわれる結果になってしまった。腐敗した政治家、流されやすい民衆、紛争や不安定な情勢、そんな中で真っ直ぐに生き抜くことの難しさ。原作は数百年前のものだが今も昔も変わらない。深いストーリーだった。

監督兼主役を演じているレイフ・ファインズが初めてメガホンを取るこの作品について、「そもそも俳優を目指したきっかけが、幼少時から触れていたシェイクスピアだったんだ。12年前に『コリオレイナス』の舞台を踏んでから、ずっとこの戯曲の映画化に興味があったんだ。他の古典作品には無い特質を持っているからこそ、この作品を映画化したいと思ったんだ」と後に言っている様に、鑑賞してみると、この作品への監督の熱い思いと内容の面白さが伝わってきます。

この手の単館系作品を劇場で鑑賞したのは、これが初めてかもしれない。劇場は渋谷のミニシアターだったがスクリーンがとても小さく、シートも狭い。音響もフロントにスピーカーが2台並べられているだけの超シンプルな造り。だが普段よく観ているハリウッド系映画では味わえない「手作り感」というか「趣」というか、作品も劇場も全て引っくるめて配給する側の熱意が感じられる、単館系の面白さを肌で感じられた記憶に残る映画になりました。

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